漢方治療について

漢方医学の起源は古代中国で出来上がったといわれます。
人間も宇宙の一部、そして人間の体の中にも宇宙があると考えました。 宇宙には、陰と陽つまり、朝と夜、寒いと暑い、男と女など、 対極になるものが存在し、そのバランスが崩れることで病気になると考えました。

もちろん、そんな昔の考え方が、現代医学の中で全て当てはまるとは言い切れません。やはり、時代にあった、進歩した現代医学での診断や治療がファーストチョイスになると思います。ですが、人間も自然の中の一つの生き物として捉える漢方医学は、一人の患者さんを色々な角度から診察、治療することができ、西洋医学でまかないきれない症状に対して、有効な場合もたくさんあります。 例えば、雨の降る前にはなんだか体が重くなる、とか、 女性の場合ですと生理前の不定愁訴、イライラしたり眠くなったり、 手足が冷えたり、なんとなく眠れなかったり、病気とまでは言えないけれど、 日常生活を送るのに辛い症状などは漢方の出番です。

漢方薬は西洋薬に比べ、苦みや独特の匂いなど、飲みにくさが気になる方もいらっしゃると思いますが、生薬と言われる原料の大半が自然に生えた植物をその人の体質、症状に合わせて調合していったもので、それは自然本来の持つ匂いや味なのです。証(その人の体質や状態)と漢方薬が合うと飲みやすく感じる場合もあります。

漢方薬について

漢方薬は、煎じ薬、エキス剤、丸剤などの種類があります。 当院では症状や季節、生活状況などに応じて、生活習慣の改善や、 食養生のアドバイスとともに、保険適応のある顆粒状の「エキス剤」を 処方します。漢方薬の中には、即効性のあるもの、ゆっくり効いてくるもの があります。その時の症状に合わせて使い分けます。

東洋医学での診察

診察は望診・聞診・問診・切診があります。

望診は、目で見て行う診察です。顔色や体型、舌の色や形(舌診)、皮膚の状態などを見ます。

聞診は、声の具合やお腹がゴロゴロ言って無いか、あるいは臭いなどを確認します。問診は、体の調子や、気になっている事を細かにお尋ねします。

切診は、脈診、腹診を行います。脈の具合、お腹の張りの具合などを診察します。

皮膚科での漢方

皮膚科で漢方を処方する場合、本治と標治という2通りの考え方があります。

本治

体全体の体調を整えることを目標に処方

例えば、女性の場合生理前にニキビが悪くなる、など、ホルモンバランスの影響を受けて皮疹が増悪する場合があります。そんな時はまず、生理のリズムを整えて、西洋医学的治療を行うと、改善が早い場合があります。また、便秘や不眠など、その時の皮膚症状に影響していると思われる症状に対しても漢方を処方していきます。

当院では、専門医の診断を受けていただきながら、月経不順、月経前症候群、更年期症候群、不眠、便秘、頭痛、めまい、鼻炎などに漢方を処方していきます。

標治

臨床症状に対応する処方

皮膚科の場合、皮膚の表面にある症状、いわいる赤みや膿疱、水疱に対して、漢方を処方していく方法です。

適応
アトピー性皮膚炎、赤ら顔、ざ瘡(ニキビ)、ふきでもの、掌蹠膿疱症、尋常性乾癬、抜け毛など